「逆転のPL」なるフレーズが甲子園を席巻する。
PL学園による奇跡の逆転劇の連続に
大観衆がどよめいたのは、1978年の第60回大会だった。
準決勝の中京戦。台風接近の空模様の下、
0-4で迎えた9回裏、通路までぎっしり埋め尽くした
観客の誰もが名門・中京の勝利を疑わない中、
後に言われる"筋書きのないドラマ"が起こったのだ。
PLの疾風怒濤の反撃による奇跡の同点劇、
そして延長12回裏のよもやのサヨナラ劇...。
歓声と悲鳴が甲子園の全方位にこだまする。
とりわけ一番ボルテージの高い応援席である、
一塁側と三塁側のアルプス・スタンドに、
望遠レンズを携えて、ひた走って何度も往来する。
三塁側のPLはチア・リーダー、
一塁側の中京は野球部員。レンズが向いた。
翌決勝の高知商戦。再び風雲急を告げる空の下、
終回0-2のスコアは、もうPLのお家芸・逆転サヨナラのために
用意されていた。としかいいようがなく、
PLの奇跡の再現を信じない者はいないほどで、
後にも先にも見られない、そういう甲子園だった。
以降、夏だけでも第65回、67回、69回大会で
破竹の優勝を重ねるPLの黄金時代が続く。
1978年の初優勝をもって後世に語り継がれる
大阪・PL学園の「奇跡の逆転劇」は、
ベンチと選手と応援スタンドが一糸乱れず一体となった
上での「筋書きのないドラマ、高校野球」なのだ。
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