毎朝、新聞をひらく楽しみのひとつに、
地区大会の報道に目を泳がせるひとときがある。
各新聞社のデジタル情報が手っ取り早いのだが、
必要以外は極力見ないようにしている。
野球というスポーツが放つ想像力が失われるからだ。
まずは一般紙で、北から南まで各都道府県の結果を見る。
有名・無名校に係らず、つぶさにもれなく各行を追っていく。
(失礼ながら)あまり見覚えのない校名に交じって、
カタカナばかりのニューフェイスを見かけたり、
楽しき哉、日本地図の旅。高校野球バージョンである。
1.2回戦から3回戦、4回戦...と進むほどに戦力が均衡、
大差やコールドゲームが少なくなって、接戦のスコアを知る。
ことに有力校同士の対決、僅差での勝敗には、
どんな攻防があったのか、行間から想像の翼をひろげるのだ。
ちなみに一般紙の朝日の場合、準々決勝までは結果のみ。
準決勝からはじめて各イニングの得点のほか、
バッテリー名、長打の選手名も併せて表示される。
想像力が膨らむのは、結果表示のみの準々決勝まで、である。
「行間を読む」というささやかな楽しみがあるからだ。
そうして、スポーツ紙に移行する。独自の切り込みによる
旬や話題の選手、こぼれ話・裏ドラマなど、
イマの高校野球の立ち位置と世間の目を俯瞰的に知るのだ。
さて、各地区大会が佳境を迎えてベスト8が決まるころ、
さしたる意味もないことであろうが、
1ヶ月ほど前の「展望」なる記事を引っぱり出す。
「当たるも八卦、当たらぬも〜」とまではいかぬが、
およそ下馬評どおりにコトが進んだことはなく、
当たらない天気予報よりはまあマシかな、
といった感想と印象を毎年のことながら覚える。
ま、これは高校野球に限らず、人間が欲する儀式だから、ね。
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