男が憧れる職業に高校野球の監督が挙がるそうだが、
たしかに甲子園の楽しみのひとつに、監督の采配がある。
蔦文也・池田高監督。「名将列伝」といえば、
この人をおいて右に出るものはいない。
1974年春「さわやかイレブン」で颯爽と甲子園に登場、
「やまびこ打線」でその名を全国に轟かせた徳島・池田高校。
「攻めダルマ」の異名がついた蔦監督の野球は、
それまでの名門校や強豪校の戦術とは趣を異にして、
誰よりも強く勝ち続けたのだが、どこかに、
日本中の高校野球ファンの夢とロマンを素朴に背負っていた。
第61回大会(1979年)、箕島高校との息づまる決勝戦で、
悲運の雨と相手の戦法に泣きVを逸するも(写真4点目)、
不死鳥のごとく甦って、第64回大会(1982年)で破竹の優勝。
翌春のセンバツ制覇に続く第65回大会(1983年)には、
夏・春・夏の3連覇への期待が国民的に渦巻いた!
といえるほど山あいの池田高校のボルテージは上がった。
高校球児の誰もが対戦相手に願うときめきとカリスマ性。
蔦監督が率いる奔放で豪快な池田野球は、
時代を超えた高校野球の鮮やかな原点、と今でも思う。
「やまびこ打線」と「攻めダルマ」。
あれから四半世紀を超えて、30年になる2013年の夏。
誰の心の中にもある日本の夏の原風景として、
蔦監督が残した言葉は、色褪せぬどころか永遠に輝く。
*写真・決勝戦(池田12-2広島商)後の蔦監督の雄姿。
(報道クルーに扮してグラウンドに飛び降りて激写、
大目玉を食らったが、若気の至りのお宝写真である)
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