2023/01/30

⑤世の森の桜並木、早春賦に春を想う。

雪のないスキー場に行く人がいないように、

花のない桜並木なぞに行く人はいない。

そーゆー変わりモンでへんちくりんな輩が

季節外の「世の森」に通って5年になる。


春の「桜まつり」には、大賑わいをみせる

名だたる桜スポットでも、残る300数十日は

“ゴーストタウン”さながら人の気配はゼロ。

あの忌まわしい災禍さえなかったら、である。


早春賦。無人の桜並木の下、トボトボと歩を

進めると、それなりにあった家並みなどが

いつしか無くなっている。桜木に目を転じて

みると、おや、今までの様子とは心なしか

違っており、どこか生気を失っているようだ。


いったいにソメイヨシノの樹齢は70~80年ほど

とされている。それも管理する人がいてこそ

であり、放置されたり人に見られないとなると

桜の樹勢が落ちていきおい短命になるという。


町内はもとより浜通りエリアの明日への希望

の桜並木。来たる春も…自然の摂理である

桜と「世の森」に思いを馳せずにいられない。










































































































































□上野―夜ノ森(常磐線利用)

(普通)約5時間15分

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2023/01/29

④「Welcome to Ohkuma」大野の観光タクシー

福島第一原発から直線距離で最も近い

常磐線・大野駅の周辺は、浜通りの中でも、

もっとも更地化が進んだエリアだろうか。 


大野駅は大熊町の唯一の駅でありながら、

町役場がある大熊の中心部(大河原地区)まで

5kmの距離があり、徒歩で70分かかる。

ということが駅の構内に表示されているのは、

そうと知らず下車する人が多いからだろう。


昨年までの駅西口は、震災その日まで営業

していたはずの商店や住宅などが無残な姿の

ままに残って生活感を想像できたのだが、

もはや跡形もなく、別の地に来たような感覚。


唯一残る「Welcome to Ohkuma」と大書き

された看板を見上げては安堵の息をする。

工事用ポールのキャラクター図柄になごんで、

気分だけは観光タクシーとやらに乗ってみた。


ご参考:2022.7.5

http://petekobayashi.blogspot.com/2022/07/11.html
















































































































































□上野―大野(常磐線利用)

(普通)約5時間20分

(特急)約3時間5分

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2023/01/27

③双葉に“いらっしゃいませ”が甦る日は?

荒廃した更地の中、朽ちたままの家屋・商店が

ポツンポツンと続いている。吹きすさぶ強風の中、

歩いたのは、5ヶ月前に避難指示が解除された

双葉駅周辺のわずか半径500メートルほどだが、

復興への道のりは遙か遠い現実を確認する。


人を見かけたのは新しく竣工された役場庁舎のみ。

一歩でも離れると人の息づかいなどは皆無、

すれ違うのは、せいぜい工事用の車輌ぐらいで

自らの影だけが煩わしくもつきまとっている。


職質をいとわず、今回もまた時間の許すかぎり

双葉の現在地をカメラに収める。ふと店頭の

「いらっしゃいませ」が萎びていた涙腺を焦がす。

きっと界隈のそこかしこで「いらっしゃい」の

掛け声とオシャベリが弾んでいたことだろう。


あの大震災と原発事故の前にはあったはずの

ごく普通のありふれた日常と暮らしの光景。

かけがえのない得がたい空気はいずこの彼方へ。

そう、「いらっしゃいませ」に緒を発する

喪失感は、この浜通りエリアのいずこの地にも

顕わにも見え隠れする哀切であり痛切なのだ。 














































































































































□上野―双葉(常磐線利用)

(普通)約5時間25分

(特急)約3時間10分

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2023/01/24

②浪江に春が来る日は、いつだろうか?

2015年から代行バスの終結点だった浪江。

2020年に待望久しい常磐線が全線開通。

長らくお世話になった代行バスを見納めて、

早くも3年の時を近く刻もうとしている。


常磐線・浪江駅。乗客は一向に増えず、

無人駅と化して3年が流れようとしている。

駅前の無人の景色はずっと変わらない。


駅前ひろばの向こう側、浪江が生んだ

作曲家・佐々木俊一の譜碑に立って

定番ソング♪高原の駅よさようなら♪に

耳を澄ませる。私の儀式も変わらない。


駅前の閉鎖中のクラブビルも変わらない。

資材が置かれたままなのも変わっていない。

わずか、在ったはずの家屋が解体され、

門扉だけが残っているのが寂寥をそそる。


○震災前の人口が2万人超だった浪江町。

避難先から帰還した人は2,000人弱という。


浪江に春が来る日は、いつだろうか?










































































□上野―浪江(常磐線利用)

(普通)約5時間30分

(特急)約3時間15分

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