2023/04/29

2023年桜行脚・エピローグ、あるいはメモランダム

①「えっ、桜ってまだ咲いているんですか?」

3月下旬、東京あたりの桜が散り加減のころ、

行きつけの喫茶店の顔見知りのレディに、

「今から西日本の桜の撮影に行くんです」と

言ったら、不思議そうに真顔で尋ねられた。


日本全国一斉に桜が咲いて、一斉に散る

と思う人は少なくないどころか、存外に多い。

“一過性の桜”は人間の意識の中でそんなもの。

春、在所の桜が咲いて見ごろに近づくと、

TVなどに「週末は花見日和になるでしょう!」

と喧伝されて、そのままインプットしちゃう。


(でも、春の使者にニガい顔は似合わない。

ニコニコ微笑んで“行ってきま~す”と応える)


② 5分咲きと5分散りの怪?

桜の咲き具合は、1分咲き、3分咲き・5分咲き~

というように“分”(ヨミ:ぶ)を使って数字で

表わすのが慣習なのだが、5分咲きと5分散り

見分け方が存外にムズカシイ。いつだったか、

ある観光案内所に“ちょうど5分咲き!”と言われ、

満開が撮れる!と勇んで行くと何と“5分散り”。


かように、咲き/散りの把握ってシロウト目には、

意外にも容易でない。つぼみが膨らみ始める→、

花が咲き始める→半分ぐらい咲く→満開になる

→散り始める→葉桜になる…およそ図鑑みたいな

児童でもわかる桜の開花から落下までの推移を

目視することがないと、陥りやすい盲点なのかも。


(でも、春の使者にニガい顔は似合わない。

ニコニコ微笑んで“愉しんで来ま~す”と応える)


③ 桜って、平地だけでも半年ぐらい咲く

軟弱な輩・私めは、平地のみをウロウロ流浪する。

平地のシバリを外すと6月から8月にかけ咲く桜、

北海道であれば羅臼/知床/旭岳…本州であれば、

北アルプス栂池/乗鞍の高地などでエゾヤマザクラ、

チシマザクラ、タカネザクラなどが見られるが、

小童の頃の木登り以来、あいにく高所は圏外だ。


ちなみに「桜前線*」は、1月の沖縄から北海道東の

5月ごろまで何と半年*近くも愉しめるものだが、

(突拍子もない喩えだが)……プロ野球などの公式戦

(3/下~10/下)の半年の期間が世の中にあまねく

知られているのとは荒唐無稽ながらワケが違う(w)。

好きな桜と野球の知名度の高さは差し置いて

冒頭の「えっ、桜ってまだ咲いているんですか?」

と言われて何ら不思議でない。むしろ当然なのだ。


*平年値であり、史上最速(!?)の23年は対象外です。

*「桜前線」は、マスメディアによる造語です。

_____________________________________________


30余年、列島の桜を追ってこようが、

いつだって双六でいえば振り出しに戻る。

自然の理なのだけれど、ま、来年は

せめて平年並みであってほしいですね


*ささやかな桜行脚のメモランダムですが、

同志への いささかでもご参考になれば幸いです。

桜って、そう、天からの贈りものだからね。


((↓画像はイメージです/西〜東の順))


















↑名物ディスプレイのリアル桜・(神戸・大丸1F)


















↑星野リゾートのOMO7ホテル・ファサード(大阪・新今宮)



















↑めずらしいオカメザクラ(東京・日本橋)



















↑フェンスからニョキ!これぞ桜・愛護 (東京・尾久)



















↑花見デビューのベイビーとママ  (東京・芝公園)



















↑白い煙突がシンボルの清掃工場の桜 (東京・杉並区)















↑空き蔵?を優しく包むソメイヨシノ (秋田・角館)



















↑親亀の上に子亀!の桜マンホール (青森・弘前)

------------------------------------------------------------------------






 









(Photo by 中野正貴)

2023/04/22

絢爛なブランド桜がお出迎えする軽井沢

あっという間だったような、長かった

ような7日間。JRが発行する企画乗車券

春の「北海道&東日本パス」利用の

'23桜行脚最終日は信州・軽井沢にする。


「青春18きっぷ」を含めて3月末日から、

史上最速(!?)桜前線を標高*を意識しながら、

ジグザクに東奔西走。そのフィナーレだ。


軽井沢の桜は2度目になる。90年代までは、

桜なるものは“ベビー桜”と私が呼んだ

若木の枝垂れがプリンスホテルに数本ほど

あったほどで、およそ桜不毛の地だった。

万物は深化する。横川からの連絡バスで

碓氷峠を越えて軽井沢入りすると、視界に

映る桜色に呼ばれたように商業モールを

進めば大振りの見目麗しきヤエベニシダレ。

桜の下はブランド袋を抱えた買い物客が

ひしめき合い桜とのツーショットに歓声を

上げている。なびくままに歩を進めると

同じ光景がリフレインされて――奥の間に

桜爛漫のプリンスホテルが静々と現れる。


軽井沢の地は、もともとの“住民”の他に

代名詞たる“別荘族”、急増する”観光客”で

色分けされるが、いわゆる居住民以外は

桜への思い入れなどはなかろう。そこに

先見の明に富む西武系のプリンスホテルが

客寄せパンダにもなる桜に触手を伸ばし、

敷地内はおろか系列商業ゾーンに桜を植樹。

満開の桜が期せずして呼び寄せにもなり

平年なら繁忙期のGW中に見ごろを迎える。


そんな勘ぐったシナリオを知る由もない、

桜下に列をなす新星男女は『サクラ?』を

彷彿、桜花に似つかわしくない「ステマ」

(ステル・マーケティング)が一瞬、かすめる。

かように容姿端麗なシダレというシダレが

絢爛豪華に“Viva”軽井沢!を奏でる光景。


おっと、格安パスのラストデー!日は高い

のに信越本線接続バスの最終時刻が迫る。

次回は、北佐久郡軽井沢町の循環バスにて、

軽井沢民の棲むエリアをぐるりと巡ろう。

ブランド系のシダレ以外の桜に出逢うのだ。


清涼なる旧き佳き軽井沢の自然美を謳う

町のマンホールも、黙ったまま言っている。






















































































































○*標高:940.5m(軽井沢駅)


ちなみに日本の最高標高の駅は、

小海線・野辺山駅/海抜1,345.67m

_____________________________________________


























2023/04/21

冬季五輪・残雪の白馬の桜狩に癒されて

白馬―1998長野冬季オリンピックの

スキージャンプ競技で日本が金メダルに

輝いた桧舞台を観戦して以来である。


いくらボンクラの輩も忘れようもない

歓喜の瞬間!から25年の時が流れている。

白馬駅に降り立つや、あの日の興奮が

微かにうなじを焦がすも、駅前にそんな

よすがの空気は微塵もない。さながら

山の天気のごとき移り気な気性というか、

国民性を嘆いても始まらぬ。かくして、

強制的に脳内を桜モードへと切り替える。


売店のレディからご案内いただくまま、

「詩の小径」なる粋な畦道の桜に癒され、

「大出公園」なる桜の在処へと向かう。

名物の吊り橋を渡り始めると、雄大なる

白馬桜景色が絵に描いたように現れる。

“ザ・パノラミック・さくら・ビュー”


北東北をウロついていたために3~4日?

ほどの遅刻を余儀なくされた白馬・桜狩。

半分近くは散り気味であったが、素浪人を

慰撫するごとく遅咲きシロヤマザクラと

シダレザクラが澱んだ酔眼を潤してくれた。


残雪を抱いた白馬連峰と雄大な山岳景。

無垢で純情可憐な桜たちは、春を存分に

謳歌していた。ありがとうよ、白馬村。