大津波に耐えたことで、すっかり有名になった
陸前高田の「奇跡の一本松」。枯れ死して、
保存処理のために伐採されたニュースは、まだ耳新しい。

ご多分にもれず、私も2回ほど足を運んで、
そのけなげな姿を見てきたのだが、
一抹の寂しさを感じるよりも、どこか自然の理に
そぐわない感情を拭いきれないままでいる。
70,000本のうち、たった1本だけ残ったことに、
ある種の奇跡を感じるのはわかるが、
"松の身"になって考えれば、直ぐにでも塩害のない土地に
移植して労ってあげるべきではなかったか。
それを"復興のシンボル"と謳って、
塩害による枯れ死が目に見えている地に留め続けたのは、
いささか人間の勝手なエゴではないか。
この松は奇跡と崇められるために、生き残ったのではない。
ただ植物の本分として、生きていたのである。
それを人間の欺瞞で、防腐処理などを施して、
レプリカ・モニュメントとして元の場所に戻される、という。
その費用は1億5千万円といわれている。
さては、目の玉が飛び出る高額なミイラになってまで、
復興のシンボルとされるのを、当の松はどう思うだろうか。
復興に奇跡はない。こんなことに時間を費やすより、
仮置場に積み上がった瓦礫のひとつでも
労をあてがうことが、復興につながるのではないか。
★「本末転倒」という戒めの言葉を借りれば、これは
「一本松転倒」ならぬ「一本末転倒」でしょうか。
そんなことをツラツラ思いながら、今回は
時間の関係で、バスの車窓から撮った陸前高田の光景です。
*公共交通機関
東北本線・一ノ関駅、大船渡線・気仙沼駅から、
岩手県交通バスが、大船渡・盛地区まで1日4本運行。
陸前高田市は、気仙中学校前下車、徒歩5~20分。
一関(バス表記)から105分(1,530円)、気仙沼から30分(820円)。
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*フェイスブックでも投稿しています
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