最短で身を持って行くには中央本線に限る。
東京から放射状に延びる幹線の東海道本線、高崎線、宇都宮線、
常磐線、そして総武線あたりでは、商工業地区と住宅が密集するか、
海原がドーンと続いて、雀も寄りつきようがないのだ。
という小学生でもわかる案配で、大月行きの普通列車に乗り込むと、
ほどなく人間界と自然界の分水嶺とでもいうべき高雄である。
高校時代、高雄山に途中まで登ったのが山登りの自己記録という
テイタラクな記憶を葬って、ひたすら案山子を発見すべく、
窓ガラスに眼鏡レンズがぶつかるほど引っつめて、外界を見つめる。
大月までは地形が急勾配すぎて、雀たちも息切れするのか、
田んぼは切れ切れにあれど案山子がいない。
が、初狩の先、笹子峠で知られる笹子の線路際に影が見えた。
ところは個人の民家、撮影の許可を得るべく家人の姿を窺うが、
気配がない。黙礼して、そおっと裏口から回り込んで、
くだんの案山子に挨拶を交わして、列車が入って来るのを待つ。
線路際の立ち位置なのに、主人公たる列車がいなければ、
画竜点青というか、絵にならずで、案山子も可哀想だからね。
★案山子の写真160体が載っています!
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