「小諸なる 古城のほとり 雲白く
遊子悲しむ…」(島崎藤村・千曲川旅情)
古城とは小諸・懐古園にほかならない。
最後に訪ねたのは四半世紀ほど前、
陽春、ふと行きたくなって早朝に発つ。
その小諸。かつては信越本線で悠々と
日帰りできたのに、冬季長野五輪により、
一気に遠い町になってしまっている。
峠の釜飯で知られる横川から“連絡バス”で
碓氷峠を越えてまずは軽井まで行って、
“しなの鉄道”に乗ってようやく小諸である。
いずれも「青春18きっぷ」は無効!という
「18きっぷ」愛用者の嘆きを慮ってか、
由緒ある懐古園は変わらぬ佇まいのままで
流浪人をかいがいしく迎え入れてくれる。
ほどよい広さの園の中、ソメイヨシノから
小諸ヤエベニシダレまで春を謳歌する
桜たち…いつしか春のまどろみの中にいた。
帰り際、ふと「写るんです あります」
「フィルムあります」の懐かしの看板に
目が留まる。古城なる懐古園の桜は
こういうフィルムでこそ撮るものなのだ!
慌てて売店を探している私をなじる。
写真の奥義だね。ありがとう、懐古園。
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