全線開通の沿線やホームで、笑顔いっぱいの
手や小旗が電車に振られてから、3週間。
人っけない駅に、桜がシレッと咲いている。
「帰還困難区域」の除染作業は17年末からで
3年後の23年春までには解かれると聞くが、
原発事故からすでに9年の歳月。住民の6割は
「町には還らない」と意向調査に答える。
震災前は500人を下らかった一日の利用客。
特急も停まるのに、乗降客の姿は見かけない。
時間が止まったままの駅前通り、小学校、
町のそこかしこで懸命に花をつける桜だって、
人間が還ってきてほしい!と願っている。
桜って、ヒトに眺められてこそ嬉しいのだ。
時計の針は、あの日の時刻で止まっている。
道路工事の「桜」回転灯が旋回している。
双葉町の花は「桜」。それを初めて知った。
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