2012/09/14

案山子ララバイ2012(vol.3-3)京都府南丹市美山町

列島47都道府県のあちこちを彷徨しながら、
「行きたいのに行っていな〜い」ところは未だ全国各地にある。
京都府の奥座敷、美山町もそのひとつだった。

山陰本線、日吉駅から町営バスを乗り継いで、
「かやぶきの里」で知られる美山町・北村という集落に辿り着く。
38棟のかやぶき集落は、岐阜の荻町、福島の大内宿に次ぎ、
全国3位を数えて、国の「重要伝統的建造物群保存地区」という、
"目で読めても舌がもつれる"漢字だらけの冠が付いていた。





















一面にひろがる田んぼの中、さて案山子は?といえば、
1体とて見つからない。複数のサイトで見ているので、あれれ?
と思い、お店で美山牛乳を喉に放り込みながら尋ねると、
「あれは写真用のリクエストで、立てただけですよ」と仰る。

本末転倒である。「かやぶき屋根の村に案山子」というイメージを
勝手に抱いてやってきた自分をなじるしかない。
早々に北村にいとまを告げて、往路で見た「道の駅」安掛に戻って、
田んぼの路肩や道路際に行儀よく並ぶ案山子にレンズを向ける。
観光客用にしては、よくある「カカシ祭り」の風体でなく、
田んぼの案山子風に出来てはいるが、ココロときめくはずもない。





































ぜいたくは言えない。日本全体で田んぼの案山子を見つけるのは、
容易ではないご時世なのだ。案山子に魅了されて、
10年以上探訪するも、年々歳々、発見が困難になっている。
絶滅の危惧にある種と言っても、もはや過言ではない。

「日本の原風景 かやぶきの里 美山」なる観光フレーズで
市町村興しを計る地にとっても、山田の中の一本足の案山子は、
もはや幻想に等しい。それほど民草の意識から霧散しているのだ。
それを確かめられただけでも、はるばる訪ねた戦果としよう。

"案山子博物館"を訪ねたわけでもなし、土と風の匂いの中に
心地よさげに立っていた案山子に会えただけでも、よしとしよう。






















さもないと、こき使われ、引きずり回された、
草臥れた我がカメラ機材に、申し訳の"も"の字も立たない。





















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★案山子の写真160体が載っています!
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☆もっと見る!http://p.tl/9JyN
「ピート小林と歩くこころの日本遺産 案山子」 

(日刊スポーツ・アーカイブ)

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