海に近いところには、雀などが少ないと言われるが、
ここは例外的に棲息するのだろうか、
海岸からほど近い田んぼに案山子の大群がいる。
朝イチに西成地区から出走。大阪環状線、阪和線、紀勢本線と
乗り継いで、紀州路をひたすら南下すること7時間。
紀伊姫駅*に着くと、すでに南中の時刻をゆうに回っていた。
(*和歌山県東牟婁郡串本町姫にある、1日平均乗車人員が
10人以下という、のどかな紀勢本線(きのくに線)の駅である)
姫と名づくからか、お姫さまふうの麗しい姫案山子が多い。
♪ひ~ふう~み~よ~と指を折って数えると、
両の手でまかないきれない!なんと総勢21体のうち、
ゆうに半数以上が姫である!といえど、この星に棲む男女の数は、
姫の方が殿よりも勝るので、驚くに能わず、か。
我に返ると、あれれ、なんと妊婦さんの姫がいるではないか。
作る過程で、たまたまお腹回りがそうなったことより、
きっと意識的に膨らませた!と睨んだのだが、ばってん、
作り手のお百姓さんに出合えず、ナゾのまま。
これまでに1,000体以上、案山子を採集してきて、
オメデタさんは"お初"。想像だにしていなかっただけに、
座布団3枚を投げたい気分。この発想にぞっこんの姫である。
案山子撮影には、たっぷりと時間をとりたいのだが、
現場の持ち時間はおよそ90分。持主が現れるのを日暮れまで
延々と待ったら、寝床の西成・あいりん地区まで戻れない。
が、姫・殿に拘らず、男女の分け隔てなく収集しないと、
案山子行のポリシーに反する。時刻表とにらめっこしながら、
畦道をバッタやイナゴよろしくピョンピョン駆け巡った。
かつては、天王寺ー新宮間に夜行鈍行が走っており、
貴重な足として利用した紀勢本線も、今いずこ。
貴重な足として利用した紀勢本線も、今いずこ。
寄り道もままならず、往復するだけ精一杯の日帰りである。
シンカンセンが来ない基幹の在来線でさえも、
利潤にならない普通列車は一気に縮小されていく。
「あのー、いったい日本はどこへ行くの?」
もの哀しそうな案山子の口もとから、言葉がこぼれるようだ。
シンカンセンが来ない基幹の在来線でさえも、
利潤にならない普通列車は一気に縮小されていく。
「あのー、いったい日本はどこへ行くの?」
もの哀しそうな案山子の口もとから、言葉がこぼれるようだ。
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雀たちや、誰からも愛でられるわけでもなく、
人間の命である米を護るために、命をかけて田んぼに立つ。
雨風に晒され、天災に耐えて、着の身着ままの丸腰のイデタチで、
365日不眠不休、人間の身代わりとなって屹立する。
そんなニッポンの原風景がひろがる、名もない南紀の里である。
★案山子160体が載っています!
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☆もっと見る!→http://p.tl/9JyN
「ピート小林と歩くこころの日本遺産 案山子」
(日刊スポーツ・アーカイブ)
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