「騙す方も騙す方。騙される方も騙される方」
札幌ドームで行われた日本シリーズ第5戦、
日本ハム・多田野投手が巨人・加藤に投じた投球が
「危険球」と判定されて退場処分となった。
誤審に間違いない。ラジオ・ニッポン放送を
聴きながらテレビ中継を見ていたのだが、我が目を疑った。
球審の言うヘルメットに当たったのでなく、
バットに当たったのは明白で、おまけにバントに
いっているのでファウルは自明の理である。
現に、柳田球審は初動でファウルと言って両手を広げたのだ。
当人は「ボールデッドで両手を広げた」と弁明するが、
唇から出た言葉はファウルで、それを示す動作でなかったか。
何が、球審を誰が見ても分かる"誤審"に陥らせたか?
テレビが捉えたのは、巧妙に倒れながら頭を抱える加藤のポーズに
符丁したかの原監督の抗議に、球審がケロッと判定を覆したこと。
その3点が目に映って、人間の心の中を映像は映せない。
もちろん、栗山監督の猛抗議は実るすべもなく、
この時点で試合への興味は一気に後退、あとは見る気もせず。
スポーツ紙、一般紙、ネット、それぞれ複数のメディアを
可能な限り横断的にチエック。いつもは節穴のような
「酔眼レンズ」の目も、今回ばかりは間違ってない(笑)。
ユー・チユーブ
http://www.youtube.com/watch?v=Gj3J5YQNJAc
当事者の加藤は「前にも頭に当たったことがある。
何が起こったのかな、という感じだった」とシラを切って、
意味不明な相関性もない言葉をつぶやく。
他方、多田野は「騙す方も騙す方。騙される方も騙される方」
と言葉少なに球場を後にしたという。
両者の"正と誤"は瞭然であるが、それ以上に、コトの本質を
言い残した多田野選手の言動に唯一救われた思いがする。
時代は変わったのに、何ひとつ変わっていない、日本野球。
付け加えれば、今回の局面は、たかが野球といえど、
日本の一番のイヤらしさが凝縮されていると痛感する。
当事者本人、審判、両監督、、、これが、例えば、
監督が元日本ハムの監督だったヒルマンだったら、
あるいは千葉ロッテの監督だったバレンタインだったら、、、
そして、打席の選手がボウカーやエドガーだったら、、、
こういう様になっていないことは容易に想像できる。
転倒しての演技とコメントには、下手な芝居そのものに見える。
多田野投手が発した「騙す方も騙す方。騙される方も騙される方」
なる言葉は、本人が大リーグでプレーしただけに、
日本野球へのシニカルな揶揄と皮肉にも聞こえきて、
一昼夜経った今でも、なぜかずっと心に引っ掛かっている。
野球を超えた、普遍的で本質的な寸鉄でもあるだ。
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そんな一夜の鬱積した目を大リーグに転じれば、
サンフランシスコの、2年振り7度目のワールド・シリーズ優勝で閉幕。
パレードは100万人のファンが沿道を埋めた、と報じている。
ボウチー監督のもとでナインが自己犠牲精神で結束した
アメリカンベースボールの姿が、たまらなく恋しい。
遥か彼方に霞む、第二の故郷であるサンフランシスコが
急に懐かしくなって、飛んで帰りたくなった。
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