2012/07/15

広告のある光景4-2 (July 15, 2012)

(続・14日付小投稿)
同キャンペーンの駅張りポスターも多く見かけたが、
そもそも広告の送り手側が、報道される以上の大変な暮らしを

余儀なくされている東北の方々の気持ちに寄り添ったり、
少しでもチカラになりたい、という在るべき姿勢が、
この広告キャンペーンには感じにくく、もはや放棄している?
そんな疑問が消えず、別カットの写真を添えて投稿です。

「そろそろ被災地へ行きたいけどキッカケが...」と感じる
善良な市民の想いを、"観光"という甘い蜜で大義名分化させて、
自らの飽くなき利益に結びつける、送り手側の能天気さ。
まさに今在る日本の有り様が露呈されて、危機感を拭えない。

それは、正義とか善悪とか礼節...など受け手側の心情に息づく
ピュアな支援の意識とは乖離した発信側の思惑が、
広告という公の場で顕在することへの、大いなる危惧である。

「観光することが支援になる」という世の表層モードも、
流布された「絆」に疑問符が投げかけられたように、
ある種まやかしの体のいい言葉として、ほんとかな?と
利用者に見透かされているのが、現在の空気ではなかろうか。

そもそも観光によって地域が活性化、経済が潤う...の図式は
その恩恵が被災された方々に届くのとはイコールでない。
いわば観光産業の「儲けたい」の一心でしかなく、

あからさまに言うのも何だから、"活性化"と濁しているに過ぎない。
ということが、もはや見破られていて、その証拠に、
一皮剥いた本心の「金が落ちた、金が落ちない」のが
迂闊にも飛び交っていて(笑)。この私も何度と耳にしたことか。

・・・という自明の現状に、まるで気付こうともせず、
旧態依然の姿で集客を輸送会社にすがる、お目出たい観光協会。
不通区間の早期復旧の明言(11年4月/前会長)を棚に上げ、
自社の湯水のような利潤追求にひた走る、殿様商売のJR東日本。
両者思惑の構図?が、こうも安閑として続くのであれば、
真摯に東北の、日本全体の未来はない、と思わざるを得ない。

広告ジャックされた車内ポスターに寸時でも目を遣る人はなく、
今の世間を反映したままの、電車内のよどんだ空気。
きっと空前絶後の膨大ボリュームで撮影された写真群と、
べルトコンベア式に生産されたであろう大量のポスターが、
私の好きな移動の時間と空間を心痛く占拠していた。

本来、人々の心に+プラスの指向で届くはずの広告が
必要悪にならないように、と祈るように願いつつ下車した。

*結びに、ご覧になった方も少なくないかと思いますが、
拙ない前投稿に昨夜半コメントされた宮崎基弘氏の発言は、
すこぶる同感する貴重な直言であり、ご本人の同意を得て
ここに再録させていただきます。ぜひ、輪を広げましょう!
            ↓

『広告のコピーは、背景をきちんと分析し、販売対象を明確に
しなければ、品位を失います。こんなことは言いたくありませんが、
災地支援のお客様はJRの運賃を半額といたします。
この夏、現地でのお買い物をしていただく、特別便を増発いたします、
なる思いです。この夏休みは繁忙期価格をはずしていただきたい。
一東北在住者。』


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