2013/10/30

百年前のテキスト「A B C」に学ぶ

スケアクロウだ、ユニオンフラッグだ、なんて
案山子ワールドにひねもす浸りきって、ふと我に返ると、
古色蒼然たる本がタンボールから顔を出している。

「A B C」。いつだったか、青空古本市で求めたものだ。
奥付には大正六年四月一日発行とあるので、
西暦では1917年だから、およそ100年前。
発行は研究社。よくお世話になった辞書の老舗である。

頁を繰ると、丁寧な説明と豊富な図版やらが並んで、
英語ワールドへの水先案内人というか、
英語への扉をオープンに分かりやすく示している。

中でも、「たった二十六文字」と題された章がいい。
さっそく冒頭の部分を引いてみる...。

 「日本の仮名はアイウエオ等の片仮名が五十字、
それに濁音といふガギグゲゴ等が二十字と半濁音といふ
バビブベボ五字と申して、普通四十八字もあるのです。
他に変体仮名といふ難しい平仮名もあります。
 漢字は「松」「竹」「梅」「鶴」「亀」など随分澤山......
大きな漢字引を見ますと其数十萬以上もあります。
ところが英字はと申すとこれはまた少いのに驚きます。
たった二十六文字......それに大字と申すのと、小字と申すのと
二種類あって、合計しても僅か五十二字しかないのです。」
(以下、略)」

翻って、巷には英語の看板やら英会話スクールやらが氾濫、
お腹いっぱいで、およそ目が回るというのに、
私たちの英語なるものは、まあ、一向に進歩しない。

「A B C」。なんとシンプルで明解なことか。
イマの時代のABCにツマったら、ムカシのABCに立ち返る。

ムカシの人は偉かった。温故知新、かしらんね。























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