2013/11/04

3.11の悲しみから11.3の歓喜へ || 楽天 初優勝 @ Kスタ宮城

職業野球でない高校野球や甲子園と違って、
プロ野球は極力、テーマにしないようにしてきた。
特定チームとコアなファンが存在して、
飲み屋ネタで禁物!とされるのと同類である。

スポーツの記録は破られるためにある、ではないが、
自己に果たした掟を破る日がきてしまった。
「東北楽天ゴールデンイーグルス」の歴史的な初優勝。
もはや分別を超えて触れずにはいられない。

                                            
少年時代に熱狂した西鉄ライオンズ*のシリーズ3連覇とは、
時代は違えども、感激の意味合いは違えども、
鳥肌が立つようなコーフンを覚えて、不覚にも目が潤んだ。
1950年代〜あの「神様、仏様、稲尾様」と称された
伝説の投手・稲尾を超える24連勝を樹立した
田中将大投手の存在があってこその、胸騒ぎである。
          
          ★

土曜日の朝、気づけば、やっと得た高速バスの
キャンセル席切符(観戦チケットではない!)を握って、
「クリネックススタジアム宮城」に向かっていた。
3.11以来、足繁く通っている被災地といえど、
野球場に行くことになろうとは思いもせずだった。

ゲートからほど近く、楽天イーグルスのコスチュームに
身に包んでファンクラブへの入会を誘うレディ。
垣間にふと伺った被災体験からも、ホーム球場ならではの
真摯さと熱い気持ちに思わぬおもてなしをいただく。

          ★

◎第6戦、球場外のモニター前は、1万人超のファンで、
あふれ返り、どのモニター前もすし詰め状態。
豆つぶのようなテレビ画面は近老眼の身には酷で、
頼りの百均携帯ラジオはほとんど聴こえず、
漏れ聞こえる球場の歓声は、途中から悲鳴に変わった。

◎第7戦、隣接する陸上競技場で催行された
パブリック・ビューイングへの群衆の列に紛れ込む。
銀塩カメラが載ったハスキー三脚を担いで、
半ば観戦ファン、半ば報道メディアに扮して、
モニター画面を見遣りながら、雨中のトラックを周回、
歴史的な11.3のもう一つの光景を撮りまくった。

涙雨は、田中将大投手への惜別だろうか。
おそらく最後の勇姿となる渾身の全15球の間、
タナカ・コールが杜の都にこだました。
その1球ごとに、あの駒大苫小牧のエースとして、
斎藤佑樹の早実と決勝再試合を演じた
甲子園のマウンド上の姿が瞼によみがえる。

          ★

被災地・東北に希望と勇気を感動をもたらした、
楽天イーグルスの初リーグ制覇と日本シリーズ優勝。

野球という1スポーツを超えた社会的な現象として
メディアもこぞって報道した9日間は、
東京一極集中の片棒を担いできたそしりのある
野球の報道では、稀にみることと感じた。

プロ野球の勢力図は、カクジツに変わりつつある、
と言われたきたが、それを目の当たりにして、
決定的に肌で感じたのが、2013年の結末と言っていい。

それはまた、野球という国民的スポーツを媒介に、
この国を覆い続ける"中央集権"から脱する
最大の転換点であると同時に、滞る「復興」への
確たる"狼煙"として結実する最大のチャンスなのだ。
そうしてこそ、創設時は草野球かクラブチーム
揶揄されながらも、被災地と支え合った
楽天イーグルスの苦節の9年が浮かばれるのだ。

          ★

あの痛ましくて悲しい3.11から45日後、
Kスタ開幕戦でスピーチした嶋基宏捕手の言葉が浮かぶ。
「誰かのために闘う人間は強い」
「絶対に乗り越えましょう、今、この時を」
「絶対に見せましょう、東北の底力を」

その嶋選手は、昨夜、インタビューでこう答えた。
「3年かかってしまったが、これが長かったのか、
短かったのか分からないが、この日本一を
Kスタで見せられたのは最高でした...」

おそらく、「長かった」というのは約束を、
「短かった」はチーム力を指しているのだろう。
そして、目に見えないチカラが満を持して、
東北楽天イーグルスの上に働いた、と私には思えた。

球場前でファンクラブへの誘いをされたレディ、
そして同じ境遇の方々にひとり残らず、
渇望し続けた希望がたっぷりと注がれたことを願う。

          ★

この歓びを、永く東北の方々と分ち合いたい。

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*(遠いムカシですみません) 西鉄ライオンズの黄金時代、
高倉、豊田、中西、大下、関口、河野、仰木、和田、稲尾...。
空んじたベスト・メンバーは永遠に心に刻まれている。
































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