2021/11/01

⑦裸にて 生まれてきたに 何不足・・・案山子残照

お上社会のこの国では、「百年に一度」

なる文言が流布されるや、お上どころか、

百年前を未体験の人々に詭弁のごとく

唱えられ空疎感が増す、ニッポンである。


『古事記』の神話にも登場する案山子。

人間にとっての命であるコメを護るため

命をかけ田に立つ。全天候下、風雪に

晒され、天災に耐え、着の身着のままの

丸腰のイデタチで、365日不眠不休、

人間の身代わりとなって田に屹立する。


もはや絶滅の危惧種?に近いと言われる

そんな案山子たち一体ごとの眼差しの

先には、いま人間界はどう映るのだろう。


列島のどこもがピカピカ・ツルツルで

無色無臭“デオトラント日本”に変貌する

なかで、モノも言わずにじっと耐えて

さえざえと地に暮らしている案山子たち。


そこに在るのは、日本人の心の奥底で

久しくかくれんぼしてた心象風景であり、

いつだって痕跡のような原風景である。


裸にて 生まれてきたに 何不足 (一茶)







































































撮影地:上州・吾妻線 郷原〜群馬原町

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『カカシバイブル』(東京書籍・2009年) 

全国の案山子、161体が載っています


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「ピート小林と歩くこころの日本遺産 案山子」

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