2021/11/12

⑩捨て案山子を探して秩父路へ

打ち捨てられた案山子に魅了されて久しい。

最後に発見したのは岐阜の瑞浪エリア、

かれこれ10年は経つ。案山子そのものが

めっきり減って、もはや“棄景”といえる

捨て案山子には遭えないのだろうか!?


この日、桜でもお世話になった秩父路に

照準を定める。奥深い山里。車窓から、

一瞬、棒切れと塊のようなモノが眼下に。

終着駅から踵を返し白久駅に降り立つや、

持ち時間15分。“捨て案山子 捨て......”

と唱えながら急坂を転げるように下るや、

ヌッと現れたのは生きた案山子だった。


まさに昼行灯である。我が“そこひ”眼を

恨んだらバチが当たる。鷹カイト案山子に

あざ笑われながら、よこしまな邪念を

知らずにナマの案山子が迎えてくれた幸に

襟を糺して感謝のシャッターを切った。


案山子みたいな当直の駅係員さんに挨拶、

寂寥感ただよう駅名標が、また来てね!

と無言のエールを送っているようだった。






































































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『カカシバイブル』(東京書籍・2009年) 

全国の案山子、161体が載っています


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2021/11/09

⑨案山子が代弁、ヒトの想い。ケルネル田んぼ

東京・渋谷にほど近い駒場、井の頭線の

車窓から望める「かかしコンクール」として

知られファンも多い「ケルネル田んぼ*」。


昨年に続きコンクールは中止となったが、

「医療従事者へ感謝」の大型メッセージ幕と

その思いを体現・可視化する25体ほどが

ズラリ。おいそれと見過ごすわけにいかない。


シンボルであるシトラスリボンをはじめ、

オリンピック聖火から、ワクチン成果、

マリア像、杉田玄白…アニメのキャラ...。

澱んだ眼も澄み、ボンクラ身も引き締まる。


すでに40回を数え、地域の方のみならず、

沿線の乗客にも秋の風物詩として定着。

来年こそ、賑わいが戻ってくることを願う。


★「かかし応援隊・駒場ケルネル田んぼ」

公式HP:動画をはじめ全体が見られます

https://www.komabano-kakashi.com


*明治初期に来日、駒場農学校で水田土壌・稲作研究に

功績を残した「ドイツ農法の父」ケルネルを顕彰する

「ケルネル田んぼ*」として100年以上も愛されている





 































































































































◎過去の関連投稿

2020年・駒場の案山子

http://petekobayashi.blogspot.com/2020/11/blog-post_26.html

2019年・駒場の案山子

http://petekobayashi.blogspot.com/2019/10/blog-post.html


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2021/11/05

⑧双葉に「天のつぶ」と案山子が戻る日は?

福島第一原発の北西4kmに位置、

20年9月に大震災・原子力災害伝承館が

オープンして復興拠点となりながら、

全住民の避難が今も続く福島県の双葉町。


その福島・浜通りエリアの耕作地が

気になり常磐線をトンビのように行き来、

目を皿のようにして探しまくった。


背中を押したのは「放射能検査のために

11年振りに試験栽培された稲刈りが

行われた」のニュースに接したからだ。


…末続、広野、Jヴィレッジ、木戸、龍田、

富岡、夜ノ森、大野、双葉、浪江、桃内…

の駅が連なる、いわゆる“浜通り”エリア。


ポケット時刻表とにらめっこした結果、

鈍行日帰り旅(上野~双葉:5時間余)では

せいぜい2往復が限界。ダイヤの関係で

末続、桃内の駅での寸時の下車が精一杯。


よって、降車ドアにピッタリ張り付いての

ガラス越しの探訪であって、さらには、

田植えと稲刈りほどしか見分けもつかぬ

ズブの素人。悲しいかな、耕作放棄地と

営農地の判別などはつくはずもない。

無音のシャッターが無様な“しろそこひ”

眼の前で虚ろにエンドレスに空を切った。


案山子的戦利品は、唯一発見の鷹カイト。

末続駅から100歩ほどの耕作放棄した

かのような畑の向こう、まるで盗み人を

せせら笑うかのごとく威光で揺れていた。


補:グーグル・センセに尋ねてみると、

試験栽培の米は、その名もうるわしき

「天のつぶ」という福島県産の銘柄米。

2025年の営農再開にエールを送ろう。


さて、きょう11月5日は「世界津波の日」。






 



































































































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2021/11/01

⑦裸にて 生まれてきたに 何不足・・・案山子残照

お上社会のこの国では、「百年に一度」

なる文言が流布されるや、お上どころか、

百年前を未体験の人々に詭弁のごとく

唱えられ空疎感が増す、ニッポンである。


『古事記』の神話にも登場する案山子。

人間にとっての命であるコメを護るため

命をかけ田に立つ。全天候下、風雪に

晒され、天災に耐え、着の身着のままの

丸腰のイデタチで、365日不眠不休、

人間の身代わりとなって田に屹立する。


もはや絶滅の危惧種?に近いと言われる

そんな案山子たち一体ごとの眼差しの

先には、いま人間界はどう映るのだろう。


列島のどこもがピカピカ・ツルツルで

無色無臭“デオトラント日本”に変貌する

なかで、モノも言わずにじっと耐えて

さえざえと地に暮らしている案山子たち。


そこに在るのは、日本人の心の奥底で

久しくかくれんぼしてた心象風景であり、

いつだって痕跡のような原風景である。


裸にて 生まれてきたに 何不足 (一茶)







































































撮影地:上州・吾妻線 郷原〜群馬原町

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