2023/02/19

列島小景 ⑦ 昭和エレジー「伊香保」

かねてから行きたかったのが前橋なら、

かねてから気になっていたのが伊香保だ。


1980年代末、ある英国車の広告写真の

撮影ロケ地に伊香保を選んだにも拘わらず、

仕事が重なり撮影に立ち会えずだった。

以来、30余年の間、ずっと気になっており、

何の用事もないのにこの地に来てみた。


伊香保。いい響きだ。♨に疎~い私でも

草津と並ぶ上州の名湯ぐらいは知っている。

辿り着くと夕暮れの提灯がなまめかしく

揺れてる。サブ~いと肩を寄せてそぞろ歩く

アベックを横目に石段の路地をウロつく。


色街として栄えたのだろう。往時の残滓が

そこかしこに漂う歓楽街の佇まいには、

人の気配がまったくない。如月。時期を

違えたのだろう。梅雨時の六月あたりから

九月の長雨どきの憂いを帯びる頃合いが

シッポリ沁み入る伊香保どきなのだろうか。


それにつけても、万事が流転する儚い世。

文人墨客に倣い何処かに投宿できれば、

往時を彷彿・ワープできる廃墟まがいの

路地裏をハーナビ頼りに漂泊してみたい。






















































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