かねてから行きたかったのが前橋なら、
かねてから気になっていたのが伊香保だ。
1980年代末、ある英国車の広告写真の
撮影ロケ地に伊香保を選んだにも拘わらず、
仕事が重なり撮影に立ち会えずだった。
以来、30余年の間、ずっと気になっており、
何の用事もないのにこの地に来てみた。
伊香保。いい響きだ。♨に疎~い私でも
草津と並ぶ上州の名湯ぐらいは知っている。
辿り着くと夕暮れの提灯がなまめかしく
揺れてる。サブ~いと肩を寄せてそぞろ歩く
アベックを横目に石段の路地をウロつく。
色街として栄えたのだろう。往時の残滓が
そこかしこに漂う歓楽街の佇まいには、
人の気配がまったくない。如月。時期を
違えたのだろう。梅雨時の六月あたりから
九月の長雨どきの憂いを帯びる頃合いが
シッポリ沁み入る伊香保どきなのだろうか。
それにつけても、万事が流転する儚い世。
文人墨客に倣い何処かに投宿できれば、
往時を彷彿・ワープできる廃墟まがいの
路地裏をハーナビ頼りに漂泊してみたい。
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