荒廃した更地の中、朽ちたままの家屋・商店が
ポツンポツンと続いている。吹きすさぶ強風の中、
歩いたのは、5ヶ月前に避難指示が解除された
双葉駅周辺のわずか半径500メートルほどだが、
復興への道のりは遙か遠い現実を確認する。
人を見かけたのは新しく竣工された役場庁舎のみ。
一歩でも離れると人の息づかいなどは皆無、
すれ違うのは、せいぜい工事用の車輌ぐらいで
自らの影だけが煩わしくもつきまとっている。
職質をいとわず、今回もまた時間の許すかぎり
双葉の現在地をカメラに収める。ふと店頭の
「いらっしゃいませ」が萎びていた涙腺を焦がす。
きっと界隈のそこかしこで「いらっしゃい」の
掛け声とオシャベリが弾んでいたことだろう。
あの大震災と原発事故の前にはあったはずの
ごく普通のありふれた日常と暮らしの光景。
かけがえのない得がたい空気はいずこの彼方へ。
そう、「いらっしゃいませ」に緒を発する
喪失感は、この浜通りエリアのいずこの地にも
顕わにも見え隠れする哀切であり痛切なのだ。
□上野―双葉(常磐線利用)
(普通)約5時間25分
(特急)約3時間10分
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