砂場はあれど、プールなぞ学校にあるわけもなく、
海なんて遙か遠けき外地のような存在だった。
三角ベースとベーゴマと防空壕遊びしか知らぬ
少年を見かねて、育ての親のひとりの次兄が、
「夏休み、プール見せるぞお!」と大枚をはたき
一路、豊島園なるトコへ連れて行ってくれた。
1950年代、メルボルン五輪の水泳ラジオ中継で
山中と宿敵ローズの激闘を聴きながら、擦り切れた
畳の上でパンツ一丁、クロールの練習をする。
畳の上でパンツ一丁、クロールの練習をする。
プールとは、そう、ラジオで想像するものだった。
巨大な水たまり!が現れて、芋を洗う混雑の中、
ザブンした!だけの微かな記憶が彼方にある。
昭和デラックスな豊島園プール・デビューには、
ほど遠く、苦かったプールの水のトラウマか、
海外のプールで溺れかけたり、四半世紀以上も
カナヅチも同然のままでやり過ごしてきた。
いつの間にか豊島園が "としまえん"にイメチェン。
「流れるプール」とか「ハイドロポリス」やら、
メリーゴーラウンド回転木馬「カルーセル」だの、
絶叫マシーン「フライングパイレーツ」など、
時代を駆けた広告が先導する遊園地と化していた。
あれから幾星霜、日没後はワンコインで入場可!
と知った昨春、夜桜の撮影でようやく訪ねる。
そんな桜の遊園地とともに、ムカシの電気紙芝居
(テレビジョン)が伝える豊島園のプールの姿を
ラストデーに行けないオマージュとして捧げよう。
きょう8月31日、園は94年の歴史に幕を下ろす。
きょう8月31日、園は94年の歴史に幕を下ろす。
(豊島園プール・1960年ごろ)
(カールセルエルドラド・2019年)
(新聞広告・2020年8月30日)
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*関連 Blog (2019.3.28)
〜遊園地と桜に恋して...遙か遠けき「としまえん」〜
http://petekobayashi.blogspot.com/2019/03/blog-post_28.html
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