いつもお世話になる駅のホームで目を泳がすと、
こんな貼りモノがこっちを向いている。
旅枕の身とて、広告には直ちに反応する輩、
中央発信でない、関西という上方文化の地が放つ
公共のマナーポスターに敬服である。
いったいに車内マナーを扱う広告は難しいのだが、
真正面からテーマに切り込みながらも、
絵柄といい文言といい、決して嫌味を残さないのは、
よく練られた賜物で制作者の技量が伺い知れる。
こんな秀作に触れて、古めかしい言葉だが、
ふと「衣食足りて礼節を知る」なる警句を思い起こす。
「暖衣飽食」という言葉があるように、
これだけ日本が物質的に豊かになったのと引き換えに、
衣食が足りなかった頃の方が礼節を重んじて、
節度があったのに、との思いが身体の中を駆け巡る。
誤解を恐れずに言えば、日本人は世界の中でも、
公共の場でかまびすしい人種に入るのはで、と残念ながら思う。
いったいに西洋人が公共の場で大人しいのは、
子どものころから他者への配慮を学習してきたからといわれる。
でも、日本だって、“躾(しつけ)”という
目に美しく耳に響きのいい言葉が家庭にも社会の空気にもあって、
赤の他人に対しても諌める言葉が飛び交っていたのに!
今ではじっと我慢の子になって、無関心を装わざるを得ない、
ゆがんだ世の中になって久しく、その病理は深い。
公共のマナーポスターがもはや必要とされない、
世の中になることを望むのは、叶わぬ願いなのだろうか。
★関連コラムが見られます
・ピート小林と歩く「こころの日本遺産」
「江戸しぐさを、もう一度」(日刊スポーツ・アーカイブ)
→http://p.tl/ShFd
__________________________________
☆フェイスブックでも投稿しています
https://www.facebook.com/petekobayashi
______________________________________
◉師走の宵をバー「B」@赤坂で !
ピート小林は、金曜日に勤務しております
0 件のコメント:
コメントを投稿