2012年の案山子を見納め、カメラ機材を畳んで駅へ歩くと、
素朴な可愛いイラスト絵のポスターに足が止まった。
近づくと、四阿屋(あずまや)「はぜかけ米」と書かれている。
片目を瞑った童を真似して、私も片目で1枚パチリ。
そもそも、コンバインでなくバインダーで収穫して、
天日に干すため稲架にかけるので「はぜかけ米」と呼ぶのだが、
絵の横に堂々と大書きされて、左脇に遠慮がちに
添えられた「おいしいよ」の文字が踊って、心がなごむ。
ちなみに「四阿屋」とは筑北村を象徴する山の名で、
この地域で収穫された「はぜかけ米」が、
地域民と県民に愛されている様子がほとぼのと伝わる。
今年2012年のお米は、作況もよくて豊穣の秋だったのに、
震災による原発事故の影響で価格が上昇した後、
複雑な流通経路もからんで、価格が高止まりのままである。
その勢力図を見れば、米どころ産の「コシヒカリ」や
「ササニシキ」「ひとめぼれ」といった伝統的な名ブランドも
もはや安泰でなく、北海道の「ゆめぴりか」「ななしぼし」、
奈良の「ヒノヒカリ」、福岡の「元気つくし」などが、
近年のコメの食味検定で特A評価を受けている。
美味しくて少しでも安い米を手に入れたいのは、
いつだって変わらない、日本人みんなの願い。
人間の命である米を護るために田に立つ案山子は、
風雪に晒され、天災に耐えて、着の身着のままの
丸腰のイデタチで、24時間365日不眠不休、人間の身代わりとなって、がんばって屹立する。
思わぬ「はぜかけ米」のポスターに魅せられた信州・筑北村。
先に出会ったばかりの案山子にお礼を言って、
大好きなおにぎりを頬ばって、信州の地を後にした。
*公共交通機関
JR篠ノ井線・坂北駅より徒歩10分
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「カカシバイブル」(東京書籍)→http://p.tl/A2Ne
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「ピート小林と歩くこころの日本遺産 案山子」
(日刊スポーツ・アーカイブ)
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