2013/05/06

みちのく桜紀行2013 ⑬イーハトーブ花巻に瞼濡れて

宮沢賢治をして「全くもうイギリスあたりの白亜の海岸を
歩いてゐるやうな気がする」と言わしめ名付けた「イギリス海岸」。

エゲレスのドーバー海峡は遠し。イーハトーブの花巻は近し!
せっかくのみちのく桜流浪旅路、行くしかない。
観光案内所で親切印の市内地図をわしづかみに頂戴して、
そぼふる小糠雨の中を"イーハトーブ"に向かう。

花見客は、名勝・北上展勝地に繰り出しているからだろうか、
はたまたイギリス海岸のシーズンオフなのだろうか、
人っこ一人おらず、冷気にブルブル震えながらも、
北上川の岸辺に楚々として咲き誇るソメイヨシノを仰ぎ見る。

果たして、かの賢治も、この桜堤の光景を愛でたのだろうか。

帰路、花巻城址の公園を再び訪れると、
日中とは別世界の桜景色が降りしきる雨の中にある。
雪洞電球とライトアップ光源のダブル照射による
さながら京都の能舞台のような花巻の優雅で幽玄な夜桜。

終電に駆け戻った花巻駅では、その名も「マチアイ」なる、
駅長さんがしたためた賢治ワールドへの書が目を洗う。

ボロ尽くしの風体をした荒凡夫なロートル者に、
花巻のイロハを惜しみなく差し伸べて下さった、
観光案内所のご婦人と駅ソバの女将さん。
そして缶ビールをポンと下さった唯一の夜桜花見客。

花冷えのする花巻の、とびきり温かい接遇
盛岡のサウナ宿に戻る汽車の中、独りまどろみに中にいた。


























*公共交通機関
東北本線花巻駅下車。イギリス海岸へは徒歩約30分。
花巻城址(鳥谷ヶ崎城)へは徒歩約15分。
 
◉2011年「被災地の桜」27点が見られます。
→http://p.tl/3rYt
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