2016/05/22

「その本当は本当か」木内昇氏@日経・日曜文化面

折々に気になる作家・木内昇氏が
思わせぶりなタイトルで人間性の核心に
触れていた寄稿が目に留まったので、
少しだけ引用させていただこう。

〜〜けれど仕事や人と対する中で、
「自分を守る」ことに重きを置き過ぎては
つまらないように思う。その場はうまく
しのげても...発する言葉に湿度のない、
見所の薄い人間に成り果てる気がするのだ。

〜〜多くの場合、自らが「本当の自分」と
信じるのは、「こうありたい」という理想の姿
なのではないか。逆に言えば、誰しも自分が
「本当」と思う場所から少し外れた軌道をたどって
生きている。一時は「本当」だったとしても、
それを維持するのは容易ではないからだ。

〜〜でもだからこそ生きている限り
理想の在り方を求め、そこへ向けて努める
甲斐があるように思う。抜き身の自分で
世と接しながら。ほうぼうで恥をさらして、
あちこちに傷をつくりながら〜〜。(抄録)

(日本経済新聞・2016年5月22日付・文化面)

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