人との出会いは巡り合い...というなら、
人間の分身である案山子は、どうか。
10年近く前、三陸を走るミヤコーバスの
車窓で目を射った案山子たちの軍団。
安否を尋ねて、巡り合いの淡い期待に
陸前高田からBRTを乗り継いで南下する。
おっ!~と白んだ目ン玉が小躍りするや、
母屋から鬼の形相で飛んできた老婆が、
えらい剣幕で「指名手配!ケイサツ!」
と指を突き出し迫り来る。ま、風体から
怪しまれるのは茶飯事、シカトはできぬ。
やおらテンガロンのシャッポを脱ぐや、
「お見事な案山子!拝みに来ました」
と一礼するや、老婆は罵詈雑言を発して
裏山のほうにスタコラ遠のいていった。
一瞬、つげ義春の世界...とでもいおうか、
案山子たちのシュール&ホラー感も
倍増してアップ。三陸の時雨れる夕暮れ、
案山子と添い寝できる宿あるやなしや。
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『カカシバイブル』(東京書籍・2009年)
全国の案山子、161体が載っています
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