2023/10/09

夏の残照、その壱:湘南・大磯

つい先ごろまで、暑~~い!と宣っていたのに、

潮が引く如く酷暑が去ると、夏がいとおしくなる。

この未練がましさに失笑しつゝ、夏のシッポを

捉まえたくなったのか、湘南と外房を行き来する。

まんず焦点を定めないと茫洋とするタチなので、

湘南は大磯、房総は御宿に!と根拠もなく定めた。


【その壱:大磯】


“湘南発祥の地”と、まことしやかに伝わる大磯。

今まで縁もゆかりもない遠い存在であったが、

モノのはずみでこの夏、重ねて訪ねることになる。

お初は――過日、小田原で作家・川崎長太郎の

縁を見つけ損ねるや、なぜか大磯駅に降り立って

五里霧中で西方に歩いた。ほどなく漆黒の夕闇。


そして再び――徒労の挽回にと晩夏の昼下がり、

観光案内所に飛び込んでマップを頂戴するや、

一目散に海を望む砂浜に駆けつける。ユーメイな

大磯プリンスとか何たらビーチやらとは真逆の

海辺の様相。ばってん、私にはおあつらえ向きだ。


『日の名残り』(カズオ・イシグロ)ではないが、

夏の名残りをいと惜しむのには絶好のスポットで、

係留された物体が、そこかしこで景色をつくる。

目を射った川崎長太郎風のトタン小屋に棲息する

誘いに駆られる僥倖。帰路、大磯レジャー客の

黄色い声が車内に響いて、ほどなく夜の帳が巷に。















_______________________________________________




















































































































































_________________________________

フェイスブックでも投稿しています

https://www.facebook.com/petekobayashi


0 件のコメント: